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トリックオアトリート

2012.10.31

「「トリックオアトリート!」」
「うわ……! って、アメリカと香港か、なんや珍しいなあ。うちに何か用?」
「ハロウィンのお菓子よこせ的な」
「食べられるものなら何でも良いけどね。黒こげスコーンじゃなければね」
「イギリスさんのところはハナから除外っすよ」
「んー? ちょっと待って、はろうぃん?」
「そう! お菓子くれないなら君の家の壁を真っ赤に塗り替えるかもしれないね」
「ポーランドが張り切ってたっすよ」
「ええ、お菓子なんかあらへんし……だいたいなんでそんなことされなあかんの?」
「……まさか」
「もしかして忘れているのかい?」
「忘れるも何も。ハロウィンって何やねん」
「スペインさん欧州のくせに知らないんすか?」
「知らへんよー。それになんでそんな妙ちくりんな格好してるん?」
「HAHAHA、何を言っているんだい。ハロウィンと言えば仮装とお菓子じゃないか!」
「それでも神の剣なんすか」
「わあああ、やめてー! ここでそれ出してこんといて!!」
「十月三十一日のお祭りなんじゃないんすか」
「ん? ちょっと待って……あー、そう言えばオランダがなんやごちゃごちゃ言うとったかも知れへん」
「俺たちはこれから欧州中を回るんだ。早くお菓子くれないと困るんだぞ」
「そんなん言われても俺カトリックやし。そういうのやってへんから何も用意してへんで」
「マジバット」
「なに、香港これから素振りでもするん?」
「スペインさんがあまりにシケてるんでショック隠せない的な」
「シケてる……?! ちゅーか、なんで香港がわざわざこっちまで来てるんや。お前、中国んとこ帰ったんちゃうん?」
「今日は特別っすよ」
「それにクリスチャンでもないやろ」
「ハロウィンは今や世界中に広がっているんだぞ。君とイギリスぐらいだよ、そういう頭の固いこと言うの」
「一緒にすんなや! それに俺とあいつは違う宗教なの!」
「それにイタリアたちはお菓子くれたよ。なんでスペインではやってないんだい」
「えー?! 嘘やん……ロマーノも?」
「しかもバッチリ仮装してたっすね。あんなノリノリなロマーノさん初めて見ました」
「そうかい? 彼はイベントがあったらだいたいあんな感じだよ」
「え、ちょちょちょ、仮装って何なん? そういう格好してたん? 自分ら耳ついてるやん」
「これは狼男と」
「ドラキュラさ! 今年はクラシカルにって日本が用意してくれたんだぞ!」
「日本が? イタちゃんとロマーノの服も?」
「一緒に渡してたみたいだね」
「俺ちょっとローマ行ってくるわ」
「ええ、これからかい?!」
「飛行機はまだ余裕であるで!」
「その前にお菓子!」
「キッチンに今朝焼いたチュロスあるから好きに食ってええよ! 俺は今すぐイタリア行って二人のかんわえええ! 姿を目に焼き付けてこなあかんから忙しいねん、ほな!」
「……」
「鍵はどうする気?」
「さあ」

 ちなみにイタリアとロマーノは二人がリクエストした全身ガイコツのスーツだったので、スペインをたいそうがっかりさせたそうです。

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