ロマーノが西ロマ同人サイトと出会う

夏をスーパーだらだら過ごし続け、上司から「準さんは非リア充だから行ったことないと思うけど、ナガスパ行ったことある?」というリア充ハラスメントを受けたりしていますが元気です。哀れに思ったのか会社の人たちから花火に誘ってもらったんですが、台風で流れました。

続きからTwitterにまとめていたものですが、ブログにちゃんと書こうと思った妄想です。かなり長いです。

[attention]
ロマーノが検索サイトで自分の名前を検索したら、「スペイン ロマーノ」「親分 ロマーノ」「親分子分」といった言葉が関連キーワードとして表示されたことをきっかけに、うっかり西ロマ同人サイトを見つけてしまう、という話です。

「ちくしょー!何でスペインのやつ、いちいち出てくんだよ」

気に食わないと思いつつも、気になって「スペイン ロマーノ」をクリックするロマーノ。すると次の画面では「スペイン ロマーノ BL」「スペイン ロマーノ 二次創作」「スペイン ロマーノ ホモ」が関連キーワードとして表示される。

「BL?二次創作…?なんだそりゃ…つーか、何で俺とスペインとホモが関係あんだよ、ちくしょー!俺はベッラが好きなのに!」

深く考えずに、そのキーワードで検索をかける。検索結果の一番上に表示されたサイトを開いた。

「このサイトは女性向けサイトです。同人やBLの意味がわからない人はブラウザバックしてください…なんだそりゃ?女の子が作っているサイトなのか…?」

そうして、ロマーノはわけもわからないまま西ロマ同人サイトへと迷い込んでしまった。それは親分子分系のほのぼのギャグ漫画がメインのサイトだった。
そのサイトに掲載されているお話はどれも、スペインの鈍感っぷりといい自分たちの関係性といい、実際にありそうな内容だった。「何でこれを漫画にしようと思ったんだ?」と疑問に思いつつも、どこかで自分が話したのかなと軽い気持ちで受け入れてしまう程度にはリアリティがあった。
結果、ロマーノは同人やBLや女性向けに対して警戒心がないまま、検索結果にそういうサイトが出てきても軽率にクリックしてしまうようになっていった。ほのぼの親分子分の二次創作サイトを見ても、二次創作に何の抵抗感もないまま「日本の女の子は絵が上手だな」と感心する日々を送る。

ところがある日、スペイン→ロマーノ色強めのサイトに出会って状況が一変する。

「ち、ちぎー!なんだこれ!俺がスペインに軟禁されてるぞ、ちくしょー!それにいくらスペインでもこんなこと言いだしたら怖ぇよ!」

そこにはヤンデレをはじめとした、重い西ロマ作品が掲載されていたのだ。中にはスペインがロマーノを愛するあまり、社会的道徳に反するようなこともしていた。それに対して恐ろしくなり青ざめる。
しかし劣等感の強いロマーノは、そんな作品に満たされるものもあったのだった。自分の知っているスペインはあくまでも親分然としていて、朗らかで飄々とした掴みどころのない男だ。その彼が自分へ異常な愛情や執着を向けている。

「……こいつ、それだけ俺のことが好きってことなのか……?」

今まで感じたことのない感情がロマーノに沸き上がってくる。誰かに特別愛されることなんてないと思っていたロマーノは、それまで自覚していなかった自身の欲求を揺さぶられたーーーそう、誰かに愛されたい。必要とされたい。そういった願望が控えめに主張しだした。
そうなると普段の生活をしている時でも、同人サイトで読んだ話が気になって仕方なくなった。

「確かにあいつ俺のこと特別に可愛がっていたけど、弟にも結婚してって言っていたしな…あんなこと絶対ありえねぇんだ」

初めて読んだほのぼのギャグ漫画とは違い、そういった作品に出てくるスペインは現実の彼とはかけ離れたものだった。わかっているのに気になる。
そのうち現実のスペインのことも意識するようになってしまった。彼から連絡がくるとドキドキするし、今まで何とも思わなかった特別扱いに優越感を抱くようになった。

しかし実際のスペインはいつものスペイン。ロマーノのことを特別好いているようなそぶりは見せない。元々ロマーノだってスペインのことは家族のようにしか思っていなかったのだ。そう、二人はそういう関係だった。親分で子分、今は独立して離れてしまったけれど、それでも変わらない絆。穏やかで優しい関係だった。
それなのにロマーノばかりが意識してしまって、ダメだった。今まで通りには振る舞えない。

スペインのスキンシップにも、いちいち創作で読んだお話のことを思い出して動揺してしまう。

「なっ……!なんだよ!」
「何って…ゴミついとったから取ってやっただけやん。ロマこそどうしたん?顔真っ赤やで?」
「な、なんでもねぇよ!」

そんなロマーノに対してスペインは訝しんだが、結局は「変なロマーノーええから早よメシ食おや」ぐらいの軽さで流される。その言動に甘い感情が含まれているようには、とても思えない。
一方でお話の中ではスペインに異常に愛され求められる自分がいる。
その事実が余計に辛かった。ずっと眠っていた誰かに愛されたいという願望は、空想の世界でしか満たされないのだと思い知らされる。結局現実の自分は誰にも愛されないのだ。

(検索なんて、しなけりゃ良かった…)

そうすれば、スペインに愛されたいと願うことなどなかったのに。
こんな不相応な望みを抱いて苦しむことも、きっとなかった。けれどロマーノにはどうすることもできなかった。自分がスペインへと抱いている感情が何なのかすら、はっきり自覚できないまま孤独を募らせていった。

そういった同人サイトにつきものなのが性描写だった。恋愛をしている二人を扱う上で誰もそれにふれないというのは、確かに不自然なことかもしれない。誰かはそんな話をするのだろう。しかしロマーノも驚くほど、そういったお話が多いのだ。日本の女の子は意外にオープンなものだと感心してしまった。
スペインとロマーノのセックスに関して共通しているのは、スペインはセックスが上手いように描かれている、ということだ。そしてロマーノはそういった経験が全くない。スペインが初めてで、スペインが全て。もちろんそうではないお話もあるが、割合として多いのはそうだった。

(ちくしょー確かに童貞だし、誰とも付き合ったこともヤったこともねぇけど!スペインだってそんな変わんねぇだろ!)

実際に聞いたことはない。ロマーノの偏見だ。
そういう風に描かれているものだから、必然的にお話の中のロマーノはぐずぐずに喘がされ、感じ入っている。スペインの手によって開かされた体を震わせながら快楽に身を委ねる姿には、正直興味がないと言えば嘘になった。

(…………そんなに、気持ち良いのかな?)

想像がつかないが、あんまり気持ち良さそうにしているのでやってみたくなる。快楽に流されやすいところは、創作そのままのロマーノだった。
試しにやってみようと、今までに読んできたお話の通りに指を入れてみた。しかしーーー。

「痛っ……!なんだこれ、き、気持ち悪ぃぞ…!」

到底続けられそうにない違和感がロマーノを襲った。
スペインがやっているわけじゃないからか?しかしそれにしても全然良くない!
目尻に涙を浮かべながらも、その時は行為をすぐに切り上げたのだった。

その後いろいろあって、現実は創作のように簡単にはいかないことを知った。ちゃんと準備をしなければ気持ち良くはなれないのだ。
冷静な時ならば、そうまでして後ろに何かを突っ込もうだなんて思わないだろう。
しかしこの時のロマーノは少し感覚が麻痺していた。創作の世界では当たり前のようにスペインによって気持ち良くさせられていたのもあるかもしれない。この先にとろけるような快楽があるのだと思えば、好奇心は止められなかった。

何度かしているうちに、アナルでの自慰行為でも感じるようになっていった。慣れてくると、これはこれで良いんじゃないかという気にもなってくる。

しかしどうやってもお話にあるような身も世もなく喘ぎ感じ入る、というほどの溺れるような強い快感はなかった。

(これは、やっぱスペインじゃねぇとダメってことなのかな)

何だかんだで器用な男だ。不器用なロマーノと違い、セックスが上手そう、というイメージがあるのも頷ける。それに何より、彼の大きな愛情に満たされたまま行為に及ぶのは、想像するだけで気持ち良さそうだった。

(でも……あいつ、俺のこと何とも思ってねぇしな)

そうだ、現実はフィクションのようには上手くはいかない。悲しいけれど、実際にお話のようにスペインがロマーノを愛してくれることなんてありえなかった。

ある日スペインがロマーノたちの家に遊びに来ることがあった。
いつもロマーノから出向くことが多かったので珍しいものだと思いつつも弟と出迎えた。スペインはそれを「楽園やー」と喜んでいた。そんな姿に胸にチクリと刺さるものがあったけれど、気付かないふりをする。

「じゃあ兄ちゃん、俺はドイツのとこに出かけるから。ちゃんとスペイン兄ちゃんをおもてなしするんだよー」
「うっせー早く行けよ」
「イタちゃん、気をつけてなー」

ドイツの家へと出かけて行くイタリアを見送り、二人きりになる西ロマ。しかし今さらそんなことでは動揺しない。普段通りに過ごす。

「今日はロマがメシ作ってくれるんやんなーおまえの家やし」
「…ちっしょうがねぇな。大人しく待ってろよ」
「あ、ほなパソコン借りてええ?ちょっと調べ物したいから」
「壊すなよ」

そう言って食事の支度を始めるロマーノと、ロマーノのノートパソコンで検索をはじめるスペイン。ここだけ切り取ればまるで夫婦のよう。
じっとしているのが苦手なスペインが、支度をしている間何だかんだとちょっかいをかけてくると思っていたのに、意外に大人しくしているおかげで段取り良く料理が出来上がっていく。

(あいつ珍しく静かだな…)

スープの味見をしながら、ふと気付くロマーノ。
静かにしてくれているならそのほうが良いと気に留めず、食事の用意をすっかり整えた。

「おいスペイン。メシできたけど……って、どうしたんだ?顔真っ赤じゃねぇか」
「へっ?!あ、いや……」

食い入るようにパソコンの画面を見つめながら、顔を真っ赤にしているスペインに首を傾げる。彼は慌ててノートパソコンを隠そうとするが、訝しんだロマーノは身を乗り出した。

「あっちょ、ロマーノ…!」

無理やり覗き込んだディスプレイには、いつも見ている同人サイトが表示されていた。
えっ?!嘘だ、なんで…?!
状況を把握した瞬間、青ざめるロマーノ。口をパクパク開閉させては、何とか言いわけをしなければと思うのに、頭の中は真っ白で何も思い浮かばなかった。

「……ご、ごめん。ブラウザ開いたら、表示されて。ほんで、つい…いろいろ見てもうた。その、お気に入りとかも」

言いにくそうに切り出すスペインへ、信じられないものを見るような視線を向けるロマーノ。
お気に入り。ブックマーク。
つまり、ロマーノがスペインには見られたくないものが詰まっている機能ではないか。
何でそんな危ないものを気軽に貸してしまったのだろうと後悔するが、もう遅い。一番あってはならない事態になっていた。

「これって、あれやんな。BL…とかいうやつやろ。日本とかがよう言っている」
「あ……う、あ……」

何も言えずに呆然としていると、スペインが頭の後ろへと手をやって視線を宙にさまよわせた。

「ロマーノ……こういうの、好きやったん…?」

終わった、と思った。
自分がそういう意味で好きでもない男とできている創作を、よりにもよって本人が好き好んで読んでいる。そうと知ってひかないわけがなかった。きっとドン引きだ。気持ち悪いと言われてしまうかもしれない。
ぎゅっと唇を噛んでうつむいたロマーノの沈黙を肯定と取ったのだろう。スペインが「そうなんや……」と呟いた。

「そうなんや、ロマーノ…こういうのが良かったん?こんな願望があるん?」

「こんな愛し方、してもええの?」

続けられた言葉に目を見開いた。何を言っているのだろう。
けれど、あまりの展開についていけず言っていることの意味がわからなくて目を瞬かせているロマーノの髪に指を絡めて、スペインはさらに追い打ちをかけてきた。

「俺ほんまはロマーノのこと、こんな風に愛したかった。可愛がりたいし……あーやらしいことだってしてみたい。でも、お前そういうの嫌やんか」
「へ?」
「執着されたり強引にされたりすんの、嫌やん。せやからずっと我慢しとった。それやのに……」

低くなった声の調子に怯えて咄嗟に身を引こうとするが、それよりも前にスペインに手首を掴まれる。驚くロマーノを引き寄せて、そうっと囁いてくる。

「ほんまはこういう風にされたかったん?こんな、他のやつが考えた嘘のほうがええの…?俺やったらもっと、優しく激しく愛したるのに」

目の前に迫ったみどりの瞳が爛々と輝いている。そんなシーンは何度も読んできたが、実際に目の当たりにするのははじめてのことだった。文字通り身が竦んだのもはじめてだ。射抜くようなスペインの視線の強さに、身動きひとつ取れなくなっていた。

「なあ、ロマ。俺に愛させてぇや。……ええやろ?」

瞬きすらできなかった。
やがてロマーノは何かに操られるように、ゆっくりと首を縦に振ったのだった。

〜happy end?〜

えーと親分はロマーノのことがずっとすごく好きだったよってことです!
ロマちゃんはこの後、お話以上に気持ち良い目にあえば良いヨ。

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